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アレルギーに関してよくある質問


乳幼児の喘鳴「ゼロゼロ」と気管支喘息の関係は?

乳幼児期に気管支炎やRSウイルス感染後に喘鳴「ゼロゼロやヒューヒュー」をきたすことがありますが、将来これらの症状が喘息になるかどうかは、聴診や身体所見、検査などを行っても正確に診断することが難しいのが現状です。
当院では、ある種の確率スコアーを用いて将来の喘息移行率を類推し、そのデータをもとに、個々の患者さんへ、検査や生活環境整備の必要性、お薬での治療が必要かなどを出来るだけ詳しくご説明致しております。

あくまで一例ですが、「3歳の喘鳴をきたしている男児、親族に喘息既往がある、アレルギー性鼻炎をすでに認め、風邪の後に喘鳴を何度もきたした経歴がある場合、患児の過半数は将来喘息に移行する確率がある」といったご説明です。

このように、患者さんに喘息について正しく認識いただくことで、診断や治療に積極的にご協力いただけるような理想の関係性を構築することができます。

確かに乳児期の「ゼロゼロ」は一時的に認めることが多い症状ではあります。
しかし、繰り返し認められる場合やアレルギー疾患をご本人が持っている場合、ご家族にアレルギー疾患をお持ちの方がいる場合など、様々な要素が加わることで喘息となる可能性はあります。
乳幼児期の「ゼロゼロ」と年長児や成人に認められるいわゆる「息を吐く時にヒューヒュー聞こえる喘鳴(笛性喘鳴)」とは違うものです。しかし、前述のように深い関係性があることは間違いありません。

喘息は治るのですか?

喘息は家族歴が重要であるように、遺伝にかかわる要素が関係し、治るという言葉は適切ではありません。この場合、健常児と同等の状態、つまり症状は全くなく、治療も全く行っていない状態で呼吸機能も正常になった場合に完全寛解といえます。
臨床的治癒という言葉があるように、気管支粘膜においては病理学的に変化をすでに残していることがほとんどなのです。
従って、治療の目標は臨床的無症状で生活に何の制限もないいわゆる「完全寛解」という事になります。
もちろん、乳児期の感染後の喘鳴「ゼロゼロ」や乳児喘息の一部は完全に治癒します。

年長児の「長引く咳」と気管支喘息との関係は?

はじめに長引く咳の基準についてご説明致します。
成人の場合には3週間以内で治まるものを「急性の咳」、 3~8週間ほど続く咳を「遷延性の咳」、8週間以上続く咳を「慢性の咳」と判断します。

小児の場合、明確な基準はありませんが、基本的には1か月を超える場合は「長引く咳」と考え、精査することをお勧めしています。

もちろん、年長児でも百日咳やマイコプラズマといった感染症やアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、さらに心因性のものであることも十分に考えられます。
中でも、年長児では慢性の咳が喘息や副鼻腔炎である場合が比較的多く見られます。
「長引く咳」の診断について問診、身体所見が重要となります。
具体的な流れについては以下の様になります。

胸部レントゲン→血液検査(特異的IgE検査)、鼻汁の細胞診→副鼻腔レントゲンやCTなどの画像診断

  • レントゲンなどで異常が見つかればさらに精査を進めて原因疾患を特定し治療します。
  • 喘鳴があれば副鼻腔炎の存在、家族歴でアレルギー疾患の存在がないかなどより詳細な問診を行います。

アレルギー素因があれば血液検査や鼻汁の細胞診、呼吸機能検査などからアレルギー疾患を精査します。アレルギー疾患が疑われる場合は血液検査で総IgE値や特異的IgE抗体(RAST値を測定します。年長児の繰り返す喘鳴では気道の過敏性を証明するために呼吸機能検査を行います)

  • 逆流性食道炎が慢性咳嗽の原因になることも多く、食道内視鏡などの精査を検討する場合もあります。
  • その他の疾患が原因となることもあります。

小児の咳喘息の考え方について教えて下さい。

気管支喘息とはいえませんが、無治療で放置しておくと半数が喘息になるとの統計があり、経過観察については十分に注意しなければいけません。
(少し難しくなりますが、気道の軽度の過敏性と呼吸困難を伴わないなどの点で喘息とはいえないまでも、類似した病態であることがわかります。)

乳幼児の場合

前述のように喘息との判別が困難なことも多いですが、家族歴やご自身のアレルギー疾患歴、繰り返しの頻度、危険因子(同居の喫煙者の存在)など一定の確率で喘息との関係が強いと判断される場合には、始めからロイコトリエン拮抗剤(オノン、キプレス、シングレアなど)を1か月~3か月投与する治療が一般的です。

年長児の場合

この時期の慢性咳嗽の多くはアレルギーに関連していることが多く、抗ヒスタミン薬やロイコトリエン拮抗薬が比較的多く用いられます。
咳喘息も喘息に準じた治療が行われ、吸入ステロイドを基準に沿って投与します。
逆流性食道炎の場合は制酸薬を投与します。

喘息は大人になるまで持続するのでしょうか?

喘息の最も大きな特徴として気道の過敏性〈気管粘膜の敏感な状態、喘息じゃない人が感じない刺激(ホコリ、ダニなど)〉で発作になってしまうからです。
気道の過敏な状態は、慢性の炎症と少し難しくなりますが、気管支粘膜の構造的変化(リモデリング)が起こるためと考えられています。この変化は気管支喘息を直りにくくする変化と考えられています。
近年の研究から満2歳を過ぎると高い割合でこの炎症と構造的変化が認められることが分ってきました。
つまり、小児喘息といえども小児科専門医への通院などで処方された薬を正しく服用しないと、構造的変化が起こり、発作が起こりやすい状況となってしまいます。
そのため、成人になればなるほど、喘息発作は起こりやすく、重症の発作に結びつくことになります。

少しわかりやすくご説明すると、小児といえども早期から慢性の変化が起こり表に出る症状(発作)がなくなっても、気道にはあきらかな喘息の特徴がすでに出来上がっているといえます。症状がなくても気道には変性が起こっているのです。

入院が必要になるのはどんな時でしょうか?

気管支喘息において入院が必要とされる症状や経過については以下が挙げられます

大発作で受診し、呼吸不全を伴っていると判断された場合。

中発作において治療しても、喘息の症状が改善されない(重篤な発作の既往)場合。

  • 2時間以上外来治療で改善しない(ベータ吸入、ステロイド点滴など)
  • 中発作以上が前日からおこり睡眠障害がある

他の呼吸器の合併症を患っている場合 など

気管支喘息の治療については主に次の3点が重要です。

  • 症状のコントロール
  • 肺機能
  • 気道過敏性

具体的には入院後、すぐに薬物療法が行われます。
また、呼吸困難である場合が多いので酸素吸入が施されます。
その状態で気管支拡張剤やステロイドの点滴治療を並行して行います。

気管支炎などの疾患に罹患した際に、喘息症状を呈する患児への対応は?

喘息の長期管理(抗ロイコトリエン剤や吸入ステロイドを毎日服用する)はあくまでも気道炎症を抑え、喘息発作を起こさせないようにすることが目的です。
気道感染時にのみ喘鳴を認める場合でも、年に数回程度であればその都度対処すれば問題ありません。

乳児喘息の鑑別と診断について教えて下さい。

喘息を呈する乳幼児の疾患は多彩で、容易に鑑別することは困難です。
様々なケースを想定し治療を行いますが、特にⅠ型アレルギーの気道炎症の進展が考えられるハイリスク群では積極的に吸入ステロイドによる治療を検討します。
また、乳幼児の喘息にはご家族の協力が必要不可欠となります。

治療の目標やゴールを医師と家族が共有することでより良い治療が実現できると考えています。

乳児喘息の診断に有用な所見について教えて下さい。

以下は1つ以上で選択基準となります。

  • 両親のいずれかが気管支喘息である場合。
  • 医師の診断で、患児にアトピー性皮膚炎がみられる場合。
  • 患児に1つ以上の吸入アレルギー(ハウスダストなど)がみられる場合。

以下は2つ以上で選択基準となる副次的な基準です。

  • 患児に卵、ミルク、ピーナッツへのアレルギー症状認められる場合。
  • 患児に風邪などと関連しない喘鳴(ゼロゼロ)が認められる場合。
  • 患児の末梢血好酸球が血液検査で4%を超えている場合。

以上の条件があれば、気道炎症に進展するアトピー型喘息が示唆され吸入ステロイドによる治療を早期に検討すべきと判断されます。

保護者の方へのお願い

わが子が突然、喘息との診断がなされると、保護者は少なからずショックを受けます。また呼吸困難のあるときのみ喘息であるという誤った認識のもと、急性発作時には受診されますが、非発作時には治療を中断してしまう症例も少なくないのです。
これらは、医師からの説明不足と患者さんないしご家族の理解不足に基づくものです。

医師からの喘息の治療目標・ゴールについて説明を受けていないことが多く、また、説明を受けたが覚えていないとアンケートに答えた保護者が60%以上おられるというのが実態なのです。理解不測であれば、わからないことがあれば、医師は何度も説明する義務があります。これをできない診療医は専門家とはいいがたいといわざるを得ません。
気軽に疑問点は質問してください。

のぎ小児科

診療科目 小児一般、小児循環器、小児アレルギー
院長名 野木 俊二
所在地 〒308-0847  茨城県筑西市玉戸1270-1075
TEL 0296-28-8611
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(予防接種外来)
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